中区の家 Ⅲ

門を入って、路地を通って、引き違いの格子戸を開けると少し薄暗い玄関に、暑さ10cmの欅の式台、下駄箱の上には中庭を望める、丸窓があります。
ホールは畳で、右に中庭を見ながら廊下を進むと、冬の陽だまりがとても暖かい、入側の広縁があります。突き当りには水屋を配し、座敷を茶室として使うこともできます。二部屋続きの座敷には、一間半の床、床には天然出絞の床柱が、床框は女桑の春慶塗りになっています。
施主の知人が飛騨高山で春慶塗りをしておられ、岡山から材料を送って作製してもらったものです。築35年になりますが、全体に程よく木材が日焼けし、しっとりと落ち着いた雰囲気になっています。

※KK.Arai